kmd-windorchestra’s diary

吹奏楽指導者(JBA会員)、作編曲者、中学校教諭のブログ(吹奏楽指導、作編曲依頼はメールでご相談を)

指揮の昔話2

 指揮法って難しいですよね

 吹奏楽指導者になって我流でやってきて、何度も壁にぶち当たります。小学校の先生や中学校・高校の音楽先生も何かと指揮をする機会があると思いますが、ほとんどの方が我流でもがいていらっしゃいます…。ピアノや声楽、その他の楽器を専門にしていても指揮を専門でやっている人なんて音楽の世界でもかなり限られているのが現実です。

 教員になってから2年目(指揮者デビューから6年目)に管楽合奏コンテストに出場して「指揮者賞」という恐れ多い賞をいただきました。その時は、どうせだから好き放題やってやろうと指揮台にのぼりました。最高の舞台で演奏できたことは幸せでしたが、そのあとに「停滞」してしまった感じがありました。指揮者は目立つポジションですから「絶賛」されることもあれば「酷評」されることもあります。

 そこから地区の指導者研修会で指揮を学んだり、JBAの吹奏楽ゼミナールや指揮法アカデミーに通い始めたりしました。また、県内でもトップレベルの吹奏楽指導者と親しくさせてもらっています。さらに、偶然が引き起こした幸せなのですが、国際的な指揮者コンクールで受賞歴のある方とも年に数度、貴重な音楽談義をする機会もあります。

 習い始めてから指揮が少し変わりました。昔の映像と今の映像見比べるとやっぱり違います。変わらない癖もありますが、少しずつ棒裁きは進歩しているのだと思います。でも、棒のテクニック(打点やら図形やら)は深い意味で言えば、最重要視する部分ではないのかもしれません。仮にヘンテコな指揮でもそれによって良い音が出れば、それが良い指揮なんだと思います。曲に対する理解、進むべき方向性、一瞬先にそれを提示して演奏者とコミュニケーションをとることが指揮者としては大事なのだと思います。音世界の代弁者になるということが今、1番の課題と感じております。

 

 3:28からの最初の通し演奏の指揮者(作曲者)の世界観には脱帽です。演奏の内容は課題を多く感じますが、指揮者(作曲者)を見ていて引き込まれます。もちろんそのあとのクリニックの様子も大変、興味深く面白いです。しゃべりも引き込む才能ありですね。


【2016年度 クリニック2】課題曲Ⅲ / ある英雄の記憶 ~ 「虹の国と氷の国」より   ※伊藤康英 with Composers

指揮の昔話1

 吹奏楽部指導者として活動を始めたのは大学1年生のときですから指揮者としてのキャリアは一応、およそ10年くらいになります。チューバを演奏していたのが中高の6年間ですからそれに比べると長くなっているわけです。吹奏楽部の顧問をされている先生の中には指揮よりも自分が演奏した方が楽しいという方も多くいらっしゃいますが、私の場合は指揮者として演奏に参加するほうが楽しいと感じます。(チューバ吹きとして演奏するのも楽しいと感じますけどね。)

 吹奏楽を始めてから指揮者という役割には早い段階で魅力を感じていました。中学時代から漠然と指揮者にはなりたかったです。憧れてはいたものの指揮者には簡単になることはできません。はじめてステージで指揮者として人前に出たのは中学3年生の合唱祭でした。合唱曲で昔から有名な「走る川」を指揮しました。変拍子があったり、曲想が変わったり、2分の2があったり苦戦したのを覚えています。顧問の先生に指揮を教えてもらった思い出のデビュー戦です。

 吹奏楽部内における生徒指揮というポジションにも憧れていました。中学・高校ともになれたらいいなと思っていたけれど、なれませんでした。どちらも部長という大役を仰せつかったからです。吹奏楽部の指揮者デビュー戦は高校3年生の時でした。高校の吹奏楽部ではなく、中学校の卒業生バンドでした。20人くらいだった記憶があります。部活が終わったあとに地域の地区センターで夕方に練習をしたという懐かしい思い出です。中学校のお祭りの外部有志団体として演奏しました。現役生より目立ってしまう卒業生でしたね…。今思えば卒業生だけで自主的にバンドを組んでしまう行動力がすごかったと思います。

 その1年後に外部指導者として吹奏楽部の指導に携わるようになりました。

ヨガと楽器演奏

 中間テストが終わり、放課後の校舎には楽器の音が溢れ始めました。換気しながら練習していることもあり、色々なところから音が聴こえてきます。こういう当たり前の日常を大切にしたいですね。

 テストがあると部活が休みになるわけですが、楽器は1日吹かないと元の状態に戻すまでに3日間かかるなんて、現役時代に先輩から言われたことがあります。本調子を取り戻すまでに時間がかかる人もいれば、わりとすぐに感覚を取り戻す人もいます。私は、数日吹かなくてもさほど影響を受けない派でした。体力面(スタミナ)という面では練習しないと落ちますけどね。先輩からも「テスト前と音変わらないよね」と中学時代も高校時代も言われました。今は、すっかり楽器を辞めてしまったので衰退の一途を辿るのみですが、現役当時の感覚はそれでも染み付いているのでその辺の中高生には負けないくらい吹くことができると思います。

 前置きが長くなりましたが、楽器を演奏する上で体の使い方が大事であることが数年前にはっきりと自分の中で腑に落ちた時期がありました。それは呼吸に関連する姿勢でした。肩甲骨の周辺を柔らかくしてあげると呼吸が通りやすいのです。しかも肺の下部だけでなく上部もフルに自然な流れで活躍させてあげるだけで響きが格段によくなります。私は、「肩甲骨ゆるゆる体操」と「全式呼吸(あえて名前を挙げると…)」で飛躍的に管楽器の演奏が良くなっていくことを確信しているので自分のバンド指導でも基本としています。私が普段行っている練習の方法や様子については、拙著のメソッドにまとめていますが、動画配信でもいずれご紹介できればなぁと思っています。

 

 管楽器プレイヤーとヨガの世界をつないだ動画が数日前にアップロードされていました。ヨガには取り組んだことがありませんが、工夫次第で音が良くなる可能性ありです。気軽に取り組めるところもメリットです。試して損はないと思うのでぜひ再生してみてください。


ヨガの前と後で演奏をくらべてみた!トランペット・トロンボーン編

ウインズスコアの自由曲プレゼント企画

 ウインズスコアの郷間社長がユニークな企画を立ち上げました。

1万円以上同社の楽譜を購入した団体に抽選で曲を書いてくださるそうです。

https://www.winds-score.com/sp/haisin_2/

 

 作曲家に委嘱すると通常、数十万円から場合によっては百万円を超えることもしばしばあります。そもそも作曲家とつながりがないとなかなか依頼することすら難しいものです。抽選ではありますが、素晴らしい企画だと思います。吹奏楽の楽譜は数曲買えばあっという間に1万円は超えます。年度、下半期の演奏会に向けて購入する団体はぜひ応募してみてはいかがでしょうか。

諸々のレコーディング

 週末は部活動に時間をかけられる…。

 第1回学生吹奏楽コンクール用の動画撮影をしました。明日が締め切りなのでギリギリになってしまいましたが、無事に収録を終えてアップロード作業も終わりました。フルートソロでエントリーということでオリジナル曲「旅する笛吹き」で臨みました。鼻歌から生まれた1楽章。自作アンサンブル曲のメロディーを再構成した2楽章。現代曲の3楽章。そして、1楽章の再現となる4楽章からなる小品です。フルートソロの曲を書いたのは、姉に書いたとき依頼なのでかなり久々ということになりました。

https://brass-contest-online.noiab.com/

 

 それから合奏のレコーディングも進めました。管楽合奏コンテストと日本学校合奏コンクール(グランドコンテスト)にエントリーする予定ですが、こちらも拙作の「影法師が見つめた鈍色の幻影」で臨みます。

http://www.jmecps.or.jp/soical5b26

http://jsecc.jp/aisatsu.html

 

今後は、次なるウインズスコア社のソロコンテストの収録にも挑戦します。

https://www.winds-score.com/smc2020/

 

 さて、今日アップロードされたのが「学園天国」のバーチャル大合奏です。

下関吹奏楽プロジェクトということで企画した人の行動力がすごいと思います。地域をあげて吹奏楽で人と人をつなげることも参考にしたいとおもいました。


下関吹奏楽プロジェクト2020 バーチャル大合奏

今秋、中高生向け吹奏楽講座を配信予定

 2020年の9月が始まりました。コロナ禍ということで、きっとのこの9月も今まで経験しえなかった初めてのことをたくさん体験する月になるのだと思っています。残暑が厳しい中ではありますが、月日は流れていくものです。いずれは秋の訪れを感じ、冬の足音が聞こえてきます。季節が変われば新型コロナとともにインフルエンザ予防も必要となってきます。部活動をはじめ日々の学校生活でも気を付けていくべきことが増えていきます。

 秋冬は、もともと活動時間が短くなりますからそういった意味でも色々と備えていく必要があります。そうなると動画配信というものは自分の好きな時間に必要な情報を繰り返し得ることができ効率的な練習の一助になると考えています。

 普段は、なかなか時間を割いて教えてあげられない楽典、吹奏楽の歴史などを中高生向けに動画配信ができればとABC(AYASE BAND CLINIC)では企画中です。吹奏楽指導者同士の対談や中高生からのQ&Aなどもできたらいいなと思っています。10月以降、今秋に配信をしていこうと思います。まだ、構想段階ですので色々リクエストがあれば幅広く受け付けたいと考えています。

日本が少し変わる!?

 金曜日の夕方に安倍総理が退任の記者会見をし、ニュースはそのことばかりになっていますが、水泳の池江選手が594日ぶりに水泳のレースに復帰した素晴らしいニュースもありました。酷暑といえる8月も、もうじき幕を閉じようとしていますが、先日26日のアクセス数が飛びぬけて多かったです。きっと、どこかの生徒のネットワークの中でブログの存在が拡散したのでしょうね。今日は、NFC技研さんがPA機器を譲っていただけるとのことだったので片道40分のドライブに出かけました。わが愛車のタントカスタムも1年半とちょっと乗っていますが、走行距離が1万キロを超えました(毎日乗っていてこの距離…)。

 吹奏楽のほうは、吹奏楽コンクールの代替となる独自大会まで1カ月を切り、演奏面でも運営面でも準備が少しずつ進んできているところです。コンクール一色というわけでもなく、個人的に思い入れの強い管楽合奏コンテストに向けての準備、さらには学生吹奏楽コンクールのほうも同時進行中でございます。また、秋のアンサンブルコンテスト、ソロコンテストに向けても始動しています。地域での依頼演奏は、コロナ禍のため1つもありませんが吹奏楽部としてはわりと忙しい9月になります。表舞台に立つまでは時間がかかりますが、こういった忙しさはある意味では幸せな悩みといえます。

 せっかくですから、今年ならではの活動に今後も力を入れていきたいと思います。1週間ほど前にアップロードされた埼玉県の高校生による宝島のリモート合同演奏です。楽しむだけではなく、企画して呼びかけた人や編集作業をしている人の存在がいることを中高生には感じ取ってほしいと思います。感謝、感謝です。


【4K60P】日本初の14校合同!埼玉県周辺の高校生が『宝島』をテレワーク合奏してみた!

初演っていいよね

 音楽をやる上で惹かれるのが「初演」という言葉の響きです。作曲家が楽譜に音楽を託してそれが実現する生まれる瞬間・・・。最高の喜びがそこにはあります。これは作曲に携わっているものではなく演奏者にとっても奇跡の瞬間に出会えるかけがえのない喜びとなります。

 中高生だったころ現役当時は、残念ながら初演の機会に立ち会うことはありませんでした。強いて言えば、他校の演奏会で日本初演している様子を客席で聴いて胸を躍らせていました。歴史的な瞬間に出会えたような気がして観客ながらに興奮していたのを覚えています。

 吹奏楽指導者になってからは、とにかく自作曲を毎年のように演奏してもらっています。近年ではオリジナルにアレンジを加えると年間のほとんどのレパートリーを自分で手掛けていることになります。1ケ月後に今年度初となるコンサートがありますが、作編曲者名に私の名前がたくさん出てきます・・・(笑)

 私は自作曲以外にも節操もなく他人の新作も指揮する人間です。今までに4曲くらい初演の指揮を担当しました。12月には、友人が書いたマーチ(初演)の指揮します。その曲に関するリモート対談を8月11日にzoom上で実施しました。この曲は、オリジナル版をそのまま演奏するのではなく、私のほうで小編成に編曲させてもらって演奏します。40分にも及ぶ対談ですが、限定公開しています。再生状況からすると生徒も家でこのマニアックな対談を視聴しているようです。まだ練習は初めていませんが10月から初演の準備をしていきます。

合同演奏をふりかえる…

 人生でこんなに短い夏休みは初めてです。何かと初めてのことが多い2020年です。昨日、今日と2つの高校からリモート演奏用の動画が届きました。これらを編集して、うちの中学校の演奏とコラボレーションさせていきます。コロナ禍では、なかなか合同演奏・ジョイントコンサートができませんから当面はこういった活動を軸にしていく必要があるかと思います。

 今はなかなかできませんが、合同演奏は中学時代、高校時代から好きです。合同バンドあるあるの「音の洪水」という面は否めないのですが、混沌(カオス)ともいえる音の集合体が指揮者によってまとまっていく、あの感じが大好きでプレイヤーのときも指揮者のときも楽しみにしています。

 特に私が指揮者を務めている「綾瀬市中学校吹奏楽団」では、普段は一緒に活動していない中学生に短時間でどう伝えて表現するかというものは毎回指揮者として試されているような挑戦の舞台でもあります。卒業生からもらった昨年度の「あんどこファンタジー」の演奏です。合同練習で合奏したのが1回で、あとは前日リハだけというプロ顔負けのスケージュールになっています。交通整理しきれていない部分もありますが、そこはご容赦ください。この本番では、別の指揮者が他の曲をふったわけですが、あきらかにサウンドが違うわけです。そこが面白いのです。

 


「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲

 

 合同バンドの話ついでに数年前(2017年の演奏ですね)の奇跡のコラボレーションも載せておきたいと思います。母校の中学校と高等学校が私の指揮で合同演奏をしたという今後の人生においては二度とないであろう奇跡の演奏です。


幸せのリズム

チューバのお話

  元チューバ吹きですが、今でも細々とチューバを吹くことがあります。全然吹いていないくせにその辺の中高生には負けないと強がっています。今日、一般公開された【TKWO あなたにZoom in!】はチューバの近藤陽一さんでした。共感するところや大切にされている考え方などためになる話が盛りだくさんでした。

 メロディーがいかに気持ちよく演奏できるかがチューバの演奏の成功したかの判断になるという話は高校時代から思っていました。極上の舞台(土台)を用意することが吹奏楽におけるチューバの役割でもあります。大井先生は「土」に例えていました。

 また、プロである近藤さんも遅いテンポから練習するということもある種の驚きでした。4倍遅くして1つずつメトロノームのテンポを上げていくという地道な作業を国内のトッププロが実践しているわけです。ついついインテンポで流してしまいがちですから反省すべきポイントでもあります。時間はかかるけれど、その作品にふれる時間が伸びるというのはまさにその通りでございます。


【TKWO あなたにZoom in!】第4回 ゲスト:近藤陽一