kmd-windorchestra’s diary

吹奏楽指導者(JBA会員)、作編曲者、中学校教諭のブログ(吹奏楽指導、作編曲依頼はメールでご相談を)

影法師が見つめた鈍色の幻影

影法師が見つめた鈍色(にびいろ)の幻影

1楽章 無慈悲な方程式 2楽章 複製鎮魂歌 3楽章 逆さま砂時計

 

 2020年作曲としては第1作目となります(編曲も含めると3曲目になるので1月としては、まずまずのペースです)。以下にスコアに載せたライナーノーツです。

 この曲は、綾瀬市立綾瀬中学校吹奏楽部の日本管楽合奏コンテスト自由曲のために作られた 作品です。2年前に作曲した金管打楽器8重奏「影法師に与えられた無慈悲な方程式」と小編成 吹奏楽曲「Night Knight」を再構成し、新たなメロディーを加えました。難しく聴こえる部分も多 いですが、難易度はかなり抑えてあります。グレード2.5~3程度です。15人で演奏できる超小編成となっています。

 アンサンブルコンテストで「影法師に与えられた無慈悲な方程式」を演奏しましたが何かと 物議をかもしました。まず題名が示す世界観。そして、難解なパッセージ。審査員からの講評にも「難しい曲によく取り組みました」と書いてありました。審査員を案内する役員の先生から聞 いた話では、休憩時間に入った時にも審査員の中で話題になったそうです。その室内楽作品の半音階をベースとした部分を1楽章としました。さらには、ベートーヴェンの「エリーゼのために」の旋律を加えてあります。「無慈悲な方程式」とは何なのか正体はわかりませんが、あまり出会いたいものではありませんね。 2楽章は、アンサンブル版でも中間部に使ったメロディーを軸にしていますが、改めてメロディ ーを挿入しました。「複製鎮魂歌」は、大量生産大量消費の現代社会を揶揄したものです。たくさ んの複製が作られては消えていく。レプリカは代替品ではなく、世の中に居場所を求めている のです。ただし、曲想には何の関連性もありません。描写音楽ではないのでご注意を・・・。ユーフ ォニアムが大活躍するのは綾瀬中学校吹奏楽部の部長がユーフォニアムを担当しているから です。短調から長調平行調の転調が聞かせどころです。 3楽章は、オリジナルポップス作品をリミックスしました。クライマックスでは、またまたベート ーヴェンの旋律を加えています。「悲愴」の2楽章は分厚い音の層が響くイメージで作りました。 ここの転調は同主調です。砂時計ってどっちが上でどっちが下なのでしょうか。何をもって逆さ まにひっくり返された砂時計なのでしょう。ただ言えることは、砂時計の砂は時間の経過ととも に上から下の落ちていくのです。 ピアノ伴奏が大事になるのでピアノが弾ける部員でつないでください。また、Roland 製の JUSTY を使うイメージとなっています。弦楽器の音を電子音で吹奏楽に重ねると面白いサウンドになります。重みのある独自のオーケストラサウンドを開拓する新しい吹奏楽の形でもありま す。作曲としては、2020年最初の作品となりました。

以上

 

打ち込み参考音源は以下のリンクより