kmd-windorchestra’s diary

吹奏楽指導者(JBA会員)、作編曲者、中学校教諭のブログ(吹奏楽指導、作編曲依頼はメールでご相談を)

課題曲の試聴

 昨日の積雪にともなって今日は路面の凍結。雪国の人からしたら大したことではないのですが、関東平野部にとっては大きな混乱です。何ごとも慣れていないことには苦戦をします。私も潔く今日は車通勤をあきらめてバスで通勤です。高校は始業しているので朝は卒業生にも会いました。今日は、進路事務を含めた会議を数時間行いました。いよいよ勝負の3学期です。

 さて、今日は2022年度の吹奏楽コンクール課題曲の参考音源が一部公開(冒頭約1分)されました。全日本吹奏楽連盟のウェブサイトから視聴ができますので、ぜひアクセスしてみてください。

一般社団法人 全日本吹奏楽連盟 (ajba.or.jp)

Ⅰ やまがたふぁんたじぃ~吹奏楽のための~/杉浦邦弘(第31回朝日作曲賞

 和を感じさせるフルートのソロからスタートです。全国各地のフルート奏者が何度も何度も練習することになります。スレイベル(神楽鈴のイメージか)とフルート(こちらは篠笛のイメージ)の組み合わせは第1音から世界観を作り出します。モチーフがコロコロ動き始めたところで視聴終了・・・。


Ⅱ マーチ「ブルー・スプリング」/ 鈴木雅史

 いわゆる「課題曲マーチ」です。本格的に音楽をやっている人からするとツッコミどころがある書き方かもしれませんが、個人的には大好きな雰囲気です。自分自身が課題曲マーチで育ってきている世代でもあります。あとは中学生にも演奏しやすい難易度だと思いました。Blueは青、Springは春ですから合わせて「青春」。高校の吹奏楽の現場を見てインスパイアされたとのことですが、きっと多くのスクールバンドの想いでの1ページになることでしょう。

 

Ⅲ ジェネシス/鈴木英史

 鈴木英史先生だからということももちろんありますが、試聴で聴き比べてみても1番演奏したいと思ったのは、この曲でした。先日のゼミナールでも作曲家本人が述べていましたが、譜面はわりと簡単に書いてあります。グレード3程度といったところでしょうか。でも、移りゆく和音が醸し出す色彩感が他の曲とは一線を画すような気がします。スコアリーディングの良い勉強になりそうです。課題曲コンサートの大井先生のコメントや洗足のクリニックの伊藤先生の解説なども聞いてみたいです。曲調としては、映画音楽やゲーム音楽のBGM感もあって中高生にも親しまれそうな雰囲気です。あとご本人にも述べていますが、小編成にも対応している点も現場にとってはありがたいことです。

 

Ⅳ サーカスハットマーチ/奥本伴在

 タイトル通りのワクワク感が冒頭から駆け抜けていきます。Ⅲが和声の並びが特徴というならば、Ⅳはリズムの面白さでしょうか。コンサートマーチでありながら、ポップス的な要素も含まれているので楽しい演奏ができるバンドにはオススメかもしれません。なんとなく、高橋宏樹先生の作風も感じます。


Ⅴ 憂いの記憶 - 吹奏楽のための/前川保 ( 第13回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位)

 現代曲です。この手の曲は1分の試聴では良さが分かりません。スコアを手にして音を出して毎回、新しい発見があるから面白いのです。作曲家の手を離れて様々な解釈が生まれるのも音楽の楽しみの1つです。

 

 12月に出された「会報 すいそうがくNo.217」に作曲家のコメントが掲載されているので視聴と合わせてぜひご覧ください。

http://www.ajba.or.jp/suisougaku217.pdf