ミュージックエイト社で長年にわたって編曲作品を多数生み出してきた山下国俊さんが昨年12月31日に胃がんのため亡くなられました(享年76歳)。今日付けのミュージックエイトのホームページで発表されました。
吹奏楽・器楽・ジャズ・アンサンブルの楽譜販売、出版 - ミュージックエイト / 山下国俊氏を偲んで (music8.com)
ミュージックエイトの創業当初から編曲作品を世に送り出していたということで日本の吹奏楽の発展に大きく寄与されたことは言うまでもありません。多くの吹奏楽経験者が山下アレンジの作品を手に取って演奏したのではないでしょうか。私もそのひとりです。
中学3年のとき、自分の代の十八番がミュージックエイト版の「君の瞳に恋してる」でした。年間を通してほぼ全ての本番で演奏した思い出の作品です。高校生になってからも演奏したし、卒業生バンドでも取り上げたアレンジです。
変に凝ったアレンジではなく、現場の取り組みやすさを重視したアレンジに助けられた人も多かったと思います。ミュージックエイトの基本理念に「より多くの子どもたちに、ハモるという感動の一瞬を体験してもらいたい。」というものがありました。
曲を書く人間というものは、自分の個性や技量を作品に詰め込もうしてしまいます。当時、国立音大の学生だった山下さんは、そうすることなく社長の理念に共感して現場向けの楽譜を書いたアレンジャーだったと言われています。そこから楽譜も売れるようになったそうです。でも、山下先生は表舞台に出ることを拒む性格だったようです。ちなみにその少し後に小島里美先生が同じようなスタンスでたくさんのアレンジを書いて世にミュージックエイトの作品が溢れるようになりました。
そのあたりのことはミュージックエイト創業50周年創業者の挨拶に詳しく書いてあります。
ミュージックエイト創業50周年。創業者挨拶 (gakufu.co.jp)
私も曲を書く人間の端くれとしての理念が「楽器を始めて数年の中学生でも気軽に演奏できる」というものです。出版者についているプロと並べて語るのは、おこがましいことですが山下先生のように演奏しやすい作品をこれからも書いていこうと思います。
山下先生、安らかにお眠りください。合掌・・・。