kmd-windorchestra’s diary

吹奏楽指導者(JBA会員)、作編曲者、中学校教諭のブログ(吹奏楽指導、作編曲依頼はメールでご相談を)

給特法の素案について

教員給与上乗せ 10%以上に引き上げの案盛り込みへ 中教審部会 | NHK | 文部科学省

 上乗せ分を「4%」から「10%以上」という半世紀ぶりの引き上げは検討されています。教員の働き方改革、処遇改善を目指すものです。ブラックなイメージで教員の成り手が不足している現状。そのほかにも担任などの手当ての加算、教育業務支援員、支援スタッフの増員なども盛り込まれているそうです。約半世紀の間、改革されてこなかった部分が見直されたのは大きいなことだと思います。まだ、改革の全容や詳細を私自身が理解しているわけではないですが、現段階の私見を述べておきます。

 

 労働者としてお給料が上がることは嬉しいですが、残念ながら給料が上がったり多少支援スタッフが増えたところで「働き方改革」にはなりません。現職の教員からするとこの50年で膨れ上がった仕事そのものを見直すことが「働き方改革」です。多くなった仕事を分担するのではなく、学校が担うべき仕事を精選していくことが本当の「働き方改革」です。

 ベビーブーム世代が学校に通って生徒数が多かった時代や校内暴力が溢れていた時代ですら教員はたくさんいました。その後、教育現場に対するニーズが「ビルド&ビルド」で膨らんでいって先生たちが疲弊していきました。パソコンの登場で事務仕事が増えて、SNSの登場でトラブルが増えました。

 公立学校の給料そのものはインターネットで調べれば出てきますが、決して低いものではありません。仕事量に対して…という視点で見れば低いですが、そう遅くない時間で退勤できるような仕事体制をつくれば現行の給料でも十分だと思います。各先生方のご家庭事情は分かりませんが、低賃金で苦しんでいるというより仕事量で苦しんでいるように思います。

 

給料の増額より仕事量を減らしてくれ

 

 仕事量の見直しが進まないまま、給料を上げると「給料が上がってたくさんもらってるんだから働いて当然だ。学校はなんでもしてくれる」という世間の視線が多くなりそうで危惧しています。スタッフの増員や給料の増額をしたから教員志望者が増えるようにも思えません。待遇改善は喜ばしいことですが、もとにある問題の解決とは言えないのではないでしょうか。文科省教育委員会は、「先生方、●●という仕事はしなくていいですよ。その分、子どもと接してください」というメッセージを出してくれないでしょうか。そうすれば、子どもは成長しますから。部活動もそうです。時間をかけて指導した分は、本校吹奏楽部がそうであるように変容します。「働き方改革=部活動の地域移行」で何が起こるか…子どもと接する時間が減るのです。「働き方改革」という言葉を教職の世界で使うなら、世間からは見えにくい事務仕事、広がりすぎたニーズにフォーカスを当ててほしい。時代の変化があるのは承知の上ですが、偉い方は50年前にはなかった仕事を挙げてみてほしい。もし、どうしても時代とともに増えた仕事があるのならば、学校現場で増員ではなく別の仕事として行政なり新しい場所なりでやっていただきたい。スタッフの増員が行き過ぎると本務の先生はその非常勤の勤務形態に合わせて打ち合わせをしたり指示を出すだけでもいっぱいいっぱいです。