各種コンクール、コンテストの申し込みにおいて著作権の絡みが発生しています。出版されている楽譜を普通に使ってエントリーする場合ならば、特別な煩わしさはありません。しかし、出版されている楽譜に編曲を加えて演奏したり、委嘱作品を演奏したりというイレギュラーが発生すると手続きが必要となります。
前もって申し上げておけば、著作権は守られるべき権利であり侵害行為が蔓延しないためにもしっかりと手続きが必要なことは理解しています。ただ、もう少し学校教育の現場については事務作業の軽減ができないものかと…思ってしまうことがあります。
アンサンブルコンテストの手続きです…。
本校吹奏楽部からアンコンにでる2チームとも、拙作でエントリーしています。これは毎年のできごとです(笑)。言うまでもなく、未出版作品なので「演奏許諾」が必要になります。作曲者である私が、演奏団体である本校吹奏楽部に「演奏許諾」を出すことになります。許諾書作成だけでなく、スコア表紙のコピーも手続きで必要です。特にライナーノーツを書いていない作品ですから、表紙なんてものはもともとありません。編成と作曲者名が分かるものとして表紙の提出が求められるのです。私も5年くらい前はアンコンの実行委員長をやっていたので連盟サイドの事情もよくわかります。でも、余計な仕事が増えているような気がしてならないのも事実です。顧問の先生が自分のバンドのために曲を書いているんだから…。誰の著作権も侵害していないし、不利益もありません(曲を書いた対価は一切もらっていませんし…)。現行のシステムや法から考えれば、しっかりと手続きがあることで著作権は守られるわけですから、仕方のないことですが、連絡責任者の名前と作曲者名が同じ…それで事情わかりますよね。何となく一生懸命やった人が大変になる構造は「なんだかなぁ」と思いながら毎年、手続きをしています。
もう1つ某コンクール
こちらも手続き中です。全日本吹奏楽連盟の課題曲を編曲しようとすると大変なのです。なおさら、シーズン中だと余計に…。作曲家は認めてくれていても楽曲の権利を有する団体(出版社や連盟)が認めてくれないと正式には許諾を得たことにはなりません。それぞれの団体にそれぞれの事情があります。何度も記しますが、著作権は守られるべき権利なので尊重したい気持ちは強いです。
でも、最も大事にすべき作曲家の権利が侵害されるわけでもないならば、(ましてや学校教育の一部である部活動ならば)もうちょっと手続きを簡略したり、教育的配慮を尊重して簡単に許諾がとれたりする環境に世の中がシフトしていけばいいのに…と思っています。残念ながら許諾をとらずに楽譜をいじり倒している行為が吹奏楽の現場には多く見られます。親告罪だから…という理由もあると思われますが、手続きが面倒でよく分からないから…というのもあると思っています。しっかり守ろうとするからこそ、一方で守るのが面倒と思われてしまっては本末転倒です。
私は作編曲者の端くれです。音楽活動の性質上、わりと頻繁に「編曲許諾」をとることがあります。この編曲は、経済活動ではありませんので多くの著作権者(作曲者や出版社など)が理解を示してくれて対応してくれています。本当にありがたいことです。
許諾が得られるかどうか・・・
いつも冷や冷やしながらメールを待つことが多いです。
著作権って難しい。