kmd-windorchestra’s diary

吹奏楽指導者(JBA会員)、作編曲者、中学校教諭のブログ(吹奏楽指導、作編曲依頼はメールでご相談を)

1月もたくさんのアクセスありがとうございました。

 2021年がスタートして最初の月が終わります。2回目の緊急事態宣言が、どうやら1ヶ月の延長という方向で調整されているようですね。宣言の延長となれば、さらに1ヶ月間学校行事や部活動のやり方も見直されることになるでしょう。3月といえば定期演奏会シーズンです。宣言が解除されなければ公共機関(ホールなど)が使用できなくなってしまいます。コンサートシーズンになって多くの団体が感染対策をしながら、特に3年生の卒業公演ができることを望むばかりです。

 部活動が感染源になってしまって報道されることもしばしばあります。また、働き方改革によって3年後をめどに部活動を学校教育から切り離す方針なども出てきています。とかく、悪者にされがちな部活動ではありますが、功績があるのもまた部活動なのです。

 悪しき部分については見直しが必要なのは私も同意見です。昨年度からのガイドラインは、良いものであると感じています。ただ、学校の先生を顧問でなくして地域の人材などを活用するとなると責任の所在や人材確保が難しいのも現状です。仮に私が顧問をしている吹奏楽部を外部委託したら放課後の時間に学校に週5で来ることになります。時間帯が平日なら朝練習の1時間、夕方の2時間程度の拘束時間(練習時間だけでなく、開錠・施錠、健康観察、電話対応なども含む)となります。休日は、1日中拘束することになります。場合によっては演奏の本番が入りますので土日両方対応というときもあるでしょう。さらには大会役員、準備会議、集金、楽器の管理、膨大な事務作業がついてきます。おそらく事務作業面は、指導時間と切り離して計算されるであろうから時給で計算されないかもしれません。

 私も大学時代は外部講師の形で吹奏楽部に関わっていました。あくまで演奏指導面のみですが、かなりの頻度で指導に行っていましたので、それでも年間30~40万円くらい収入でした。大学4年になったときは、立場を少し変えてより責任のある指導顧問という関わり方でした。年間、100万円弱の収入だったと記憶しています。市内の予算や学校1校あたりに配分されている予算を他の部と折衝する関係で決まった変動が大きいと思われます。とはいえ、これは私にって音楽で収入を得た貴重な期間でした。

 ただ先にあげた演奏指導以外の諸々の部分も含めて外部の方が行うとなると厳しいものがあると思います。仮に年間で100万円の報酬があったとしても拘束時間に対してわりに合わないのです。平日の夕方に数時間働いて、土日も場合によって拘束されるという生活スタイルで仕事を引き受けてくれる方がどれだけいるのでしょうか。学校の数だけ、部活動の数だけ人材がいるわけではないのです。

 現在のやり方なら演奏面のみの指導ということでいくつかの団体をかけもって指揮をされている先生はたくさんいますが、主顧問のようになると掛け持ちも厳しいと思います。となると1校に専属になりますから収入は減ります。大学生のアルバイト感覚なら年俸100万円はいいかもしれませんが、社会人としての仕事となるとこの収入は厳しいのです。そうなると退職した元教員の再就職に頼るしかないわけです。

 単なる切り離しは、どう見ても成功しません。だからこそ中途半端なことをしないで部活動廃止論が叫ばれるわけです。部活動廃止になれば間違いなく吹奏楽は衰退します。楽器がない、音を出せる場所がないわけです。私の在住、在勤している市では吹奏楽の市民団体というものがありません。音楽をやらせるのであれば、さらに遠くまで行かせなければならず家庭の経済的負担も増える一方です。楽器をやっているのは一部の富裕層という悲しい時代になってしまいます。

 部活動を学校教育の中で存続させて、教員の負担感を減らすのであれば「教員を増やす」しかないのです。最近、小学校の35人学級へ動き出す方針がニュースになっていました(中学は財源的に無理らしい)。小学校だけでなく、部活動のある中学、高校こそ増やしていくべきです。そして、部活動顧問を完全に希望制にして、やりたくない先生は部活動業務を一切せずに他の校務分掌に専念していただくのです。人を増やして分業していけば教育効果を損なうことなくすべてが解決するのです。

 ただし、日本は先進国の中でも教育にかけるお金が圧倒的に低いので難しいと思われます。それでもって国際的なテストで上位をとれだの、地域から部活動で成果を残せだの言われるわけですから嫌気がさしてしまう先生や教員希望者もいるでしょう。日本の公教育はそういった意味では慢性的な金欠状態です。分業さえされれば、給料をもっとあげろーとか言いません。財源をつけて人を増やしてください。