kmd-windorchestra’s diary

吹奏楽指導者(JBA会員)、作編曲者、中学校教諭のブログ(吹奏楽指導、作編曲依頼はメールでご相談を)

質問箱3 スコアを読む 第1歩

 シリーズ3弾目となりました。とりあえず、金曜日までは続けて更新していこうと思います。数ある質問の中から気分でピックアップしていきます。もし、取り上げてほしい内容があれば、コメントなりメールなり何でもお知らせいただければと思います。

 

質問

 吹奏楽部の顧問をしていますが、まだ指導歴が浅く合奏でどうしたらいいのか悩んでいます。楽器の経験はありますが、音楽科ではないので専門知識も不足しています。スコアを色分けすると良いと聞いたことがあるのですが、具体的にどうすれば良いのでしょうか。教えてください。(20代 吹奏楽部顧問)

 日々の教職でご多用な中において、顧問の先生自ら学ぼうとする姿が素晴らしいと思います。音楽科ではない吹奏楽部の顧問もたくさんいらっしゃいます。互いに頑張っていきましょうね。

 さて、質問にある「スコアの色分け」ですが、おそらくこれは役割ごとに整理して理解するための方策かと思われます。メロディーパートは黄色、ハーモニーパートはピンク、オブリガートは緑、リズムパートは青などなど・・・。おおよそ4つくらいに分けてセクションの絡みを視覚的にとらえる方法だと思われます。私もやってみたことはあるのですが、それをしたからといって「スコアを読んだ」ということにはならないので注意したほうがいいと思います。何段もあるスコアを読むのに慣れていない人が慣れるためにやるのは良いと思いますが、慣れてくると色分けの必要性は無くなってくると私は思っています。色分けすることよりももっとやるべきことがたくさんあるので、そっちに時間を割いて合奏指導に当たられた方が限られた時間の中では実践的かと思います。

 【強弱記号(ダイナミクス)】

 「強弱記号なんてさすがに読めますよ・・・」と言われてしまいそうですが、そうではありません。その曲の中で初めて出てくる「ff(フォルティシモ)」はどこかと言われたら即答できるでしょうか。スコアを広げたら全体を見渡して、どのように強弱記号が変化しているか「その過程」を読み解いて頭に入れるのです。意外なところでフォルテが出てきたり、パートごとで強弱記号が違ったりと発見がたくさんあります。それらを指揮者が捉えた上で演奏者とともに確認をします。パート譜を見て演奏してるプレイヤーが気づかないところをしっかりと指揮者が導いてあげるのです。さらには作曲者(または編曲者)が想定しているパートの人数を知ることも重要です。想定されている編成と実際の編成に偏りがある場合、楽譜に書かれている強弱記号を変換していく必要が出てきます。結果的にバランスを意識した演奏や表現豊かな演奏ににつながってきます。

【和音のチェック】

 コードが分かるならばコードを書いていくのも実践的です。どんな和音が使われ、土誰がどの構成音を演奏しているのか示してあげるのがスクールバンドでは大切だと思います。初歩的な段階では言えば、明るい和音なのか暗い和音なのか、そのどちらではあるかを把握します。和音のカラーを決めるのが第3音になります。コントロールが難しい第3音は、練習のポイントにもなってきます。

 曲にもよりますが、第7音も色合いという意味で影響力が大きいパートでもあります。大人っぽくなったり、不思議になったり、このセブンスコードというものは音楽の面白みを引き立てます。個々のプレイヤーに役割を認識させるためにも指揮者がしっかりと理解していく必要があります。

 

【移調】

 そもそもの話になりますが、移調楽器の集まりですがからそれぞれの楽器の楽譜は読めたほうがいいです。これは訓練しかないので、書き換えをやってみてください。ついでに楽器ごとの出しやすい音域と出しにくい音域についても勉強しておくと良いと思います。楽器の教則本にも載っているので、inB♭の読み方の練習をするときはクラリネット教則本を読んでみるというふうにやると効率的です。

 

 今回は、3つを視点をまとめましたが、徹底的にやろうとするとこれだけでもものすごい労力になります。曲の形式や和声、作編曲家のことなど掘り下げようと思えばいくらでもいけますが、まずはこの3つの視点だけでも良いかと思います。セクションの色分けは、子どもたちがチューナーを見てチューニングすることや階名を楽譜に書くことと同じだと私は考えます。いけないことではないけど、ずっとそれをするのは違うと思います。自転車の補助輪です。繰り返しているうちに体得できるので、慣れてきたら色々な角度からスコアを読んでみましょう。

 最後まで読んでくれた方に、ここで告知です。6月の下旬に「スコアを見ながら語る(仮題)」と題して動画を配信を計画しています。限定公開の設定にしますが、こちらのブログにURLを貼り付ける予定ですので準一般公開という形をとろうと思います。

 吹奏楽の定番曲であるスウェアリンジェン作曲の「センチュリア序曲」を題材にする予定です。私が普段見ている視点や今回の質問箱の内容とも関連のあるお話をしようと思っています。