kmd-windorchestra’s diary

吹奏楽指導者(JBA会員)、作編曲者、中学校教諭のブログ(吹奏楽指導、作編曲依頼はメールでご相談を)

質問箱2 響きのある音

 昨日の質問箱に早速、反応がありました。アクセス数も平日のわりには多めです。2,000字をこえる文章を読む人がいるのが驚きますが、引き続きお付き合い頂ければと思います。

質問
音が硬いと言われます。響きのある音にするにはどうしたらいいですか? (高校1年生 トロンボーン

※現在、高1の子ではなく過去に指導しに行った高校で高1の生徒から質問を受けました。もう卒業してるかな?

  

  先に申し上げると硬い音が出せることも大事なスキルの1つです。「柔らかい」の対義語としての「硬い」や「もろい」の対義語の「堅い」、「ゆるい」の対義語の「固い」、「易しい」の対義語の「難い」などどれも重要な音楽的テクスチャー(質感)です。

  この生徒の音を聴かせてもらってわかったことは、彼女のいう「硬い」は「響きの薄い音」でした。管楽器でも打楽器でも同じことが言えますが、「大きい音」と「響く音」は全然違います。管楽器を十分に鳴らすために息をたくさん吹き込むことは大事なのですが、身体に力が入ると音は大きくなっても響きのない薄っぺらな音になってしまいます。この音の厄介なところは他の人の音と混ざらないのです。これは合奏する上で大問題です。

 響きのない音を出している人は首、胸、腕、肩など上半身に必要以上に力を込めてしまっていることが多いです。ブレスと連動したり、バズィングと連動したり、楽器の構えと連動したり人によってタイプが異なります。まずは、楽器を持たずに自然体の自分を確認しましょう。そこで何をした時に力が入ってしまうのか、誰かにチェックしてもらうのが1番早く解決できます。

 数年前から「アレクサンダーテクニーク」を楽器の指導に生かすことが注目されています。日本国内でも第1人者はバジル先生だと思います。バジル先生の書籍やブログからヒントを得られる可能性もあります。

バジル・クリッツァーのブログ (basilkritzer.jp)

 

 私が指導に行った際、この質問者の生徒にちょっとしたブレストレーニングを試しました。ブレストレーニングというと肺活量を増やすという昔ながらのイメージがありますが、コントロールや意識改革にも使えるのがブレストレーニングです。そのブレストレーニングの前後で他の部員に音を聴き比べてもらったところ、たった15分で音が変わりました。こういう生徒の場合、もともと頑張って鳴らそうとしているのでパワーはあるわけです。パワーが空回りしてしまうと力みにつながってしまうのです。

 どうやって力みをとったかというと無理にお腹を動かす腹式呼吸ではなく、肺上部も使った呼吸を意識させました。あと、息が無理吸える(肺が膨らむ)ように肩甲骨を開くエクササイズを軽くやりました。それだけです・・・。

 私自身もいつからか覚えていないけど、自然とこの呼吸を使って楽器を吹くようになりました。これができるようになると何が良いかというと、そんなに頑張って吹かなくても音がある程度、響いてくれるのです。少ないエネルギーで存在感はバッチリというありがたい状況になります。だからしんどくないです。さらに息を瞬間的に速く出す練習を組み合わせると効果は絶大です。

 

 ぜひ、お試しあれ・・・

と言いたいところですが、今回の内容は文字だと伝えるのがものすごく難しいのです。ブレストレーニングの厄介なところは目に見えないというところです。ブレストレーニングを可視化する練習を人気のバンドディレクターなどが実践しています。本当は、モデルを誰かにやってもらって、あれこれ試してみて音が変わっていくさまを見て参考にしてもらうのがいいのですが・・・。こういうレッスン動画を作る機会があれば作成してみたいとは思っているのですが・・・今のところできていません。協力していただける方がいればご連絡ください(笑)