kmd-windorchestra’s diary

吹奏楽指導者(JBA会員)、作編曲者、中学校教諭のブログ(吹奏楽指導、作編曲依頼はメールでご相談を)

質問箱1 勉強と部活動の両立

 1万アクセス突破の記念企画であり、感謝の意を伝える意味でも「始めますよ」と宣言したものをそろそろ実行に移そうと思います。このシリーズ!?では、中高生の吹奏楽部員や吹奏楽部顧問・指導者などから今までに寄せられた質問に私なり答えていきます。ブログ上に文字で起こすこともあれば、おしゃべり動画にすることもあるかと思います。

質問

 部活動と勉強の両立で悩んでいます。テストで思うような点数がとれません。部活動を辞めて勉強に専念した方が良いのでしょうか。(中学2年生)

 

お答え

 「勉強も部活動もどっちも頑張りたい」という気持ちがある人はきっと頑張り屋さんなんだと思います。現段階で、睡眠不足や精神的なプレッシャーから健康面に影響が出始めているならば部活動から身を引くのも1つかもしれません。でも、いきなり白黒つけてしまうのは、オススメできません。まずは自分を見つめ直して客観的に見ることが大切です。

 もし、部活動の練習がなくなったら勉強時間が単純に増えるかというとそういうものではありません。人間というものはそんなに強い生き物ではないので時間的余裕を思い通りに使いこなせないのです。「怠ける気持ち」というものが潜在的にあります。ある程度、予定がしっかりと詰まっているいるほうが計画的に上手に時間を使える人が多いのではないでしょうか。あくまで一例ですが、データでも裏付けされています。

データから見る教育 部活動に打ち込む生徒は学習にも積極的 VIEW21[中学版] 2007.09 -ベネッセ教育総合研究所 (benesse.jp)

 「部活動のせいで勉強できない」と言っている人は、部活動がなくなるとまた別の何かを取り上げて「〇〇のせいで勉強できない」と言い訳しがちなのです。根本的に勉強することが好きで趣味になっている人は滅多にいないので無意識に逃げてしまいます。これは悪いことではなく、わりと当たり前のことなのです。そういう自分がいることを見つめて認めてみるのです。面倒くさいし楽しくないけど他の友だちだってやってるし、自分だけ逃げるわけにはいかないか…と言い聞かせて私は勉強をしていました。

 部活を辞めるという選択は個人の自由ですから自分の責任で選び取ることができます。でも、部活も教育活動の一環なのです。たまに部活を「遊び」や「趣味の延長」と捉えている一般人がいますが、これは大きな誤りです。部活も勉強です。

 吹奏楽部でいえば、大人数で1つのことを成し得る難しさ、組織の一員として動くこと、人を喜ばせる充実感、音楽の喜びや感動など吹奏楽部員でなければ味わうことができない数え切れない財産があります。教科書を開いて勉強していただけでは、学べない「生きる力」です。テストで高い点数をとって偏差値の高い高校や大学に行っても、人を喜ばせたり感動させたり協調しあったりするスキルがなければ、大人になったときに幸せになれないような気がするのです。部活動の大きな目的が「人格形成」です。人として育つ大事な勉強が部活動ではできます。人間としてのレベルアップする部活動を捨てることは、もったいないと私は考えます。

 そんなこと言っても、親や先生からはテストの後にグチグチ言われるし…という人も多いでしょう。勉強の仕方を見つめ直しましょう。質問をくれた生徒さんは中2なので勉強の仕方を色々試すことができる時期です。ここで参考になるのは、学校や塾の先生ではありません。先生と呼ばれる人は、それなりに勉強を頑張って乗り越えた人なので正論をぶつけてきます(私もそうだと思います)。正論に反抗したくなるのが中学生です。ここで参考になるのが「自分より勉強ができる同じ中学生」です。無理して学年トップレベルのオール5の人を参考にする必要はありません。自分よりちょい上くらいがいいかもしれません。その人が何をどうやって勉強しているのか、リサーチしてください。何時から何時まで勉強しているのか、ノートはどうやってとっているのか、授業はどうやって受けているのか調べます。とりあえずマネできるところをマネしてみます。

 マネをしているうちに「自分だったらこうやってやるな」と思うところが出てくると思います。やり方のコピーだけだと自分に合わないことがあるので自分流にアレンジしてみるのです。国語はA君のマネ、数学はSさんのマネ、英語はF君のマネというようにそれぞれの教科を得意教科としている人を参考にします。1人の優等生を完全コピーするより、得意分野ごとにスタイルをマネしたほうがいいと思います。教科できちゃう人はもともと賢い傾向にあるので、参考になる技がワンパターンです。複数の人から学ぶと自分にあった学習方法を見つける確率が増えるのです。しかも、他の教科は大したことないけど歴史だけやけに詳しい人(かつての私)なんかがいたら最高です。そこまで優等生じゃないのにできちゃうノウハウをぜひ盗んでみてください。

 勉強と部活動の両立ということで述べてきましたが、ケースバイケースになると思います。吹奏楽部の練習に一生懸命打ち込める人は勉強でも一生懸命になれる素質はあるはずです。また、勉強でスキルアップすると演奏もなぜか上達することがあります。吹奏楽というものは音楽的感性も大事ですが、色々考えて演奏しなければならない分野でもあるからです。時には自分にご褒美を用意しながら両立していってほしいと思います。無理はいけないけど、吹奏楽部としての活動には意味があるからぜひ続けてください。応援しています。