kmd-windorchestra’s diary

吹奏楽指導者(JBA会員)、作編曲者、中学校教諭のブログ(吹奏楽指導、作編曲依頼はメールでご相談を)

数年かけておこなう大事業

 本業では担任業務、国語の授業、体育祭練習など2学期らしい日々を送っていますが、一方で「吹奏楽部の地域移行」のモデルを頭の中で組み立てています。地元の学校の先生になって10年になります。地元で吹奏楽ができる環境を整えることが自分に与えられた最大の仕事だと思っています。「地域移行なんて言っても現実では難しいだろう」と思っていましたが、行政サイドも含めて動き出しています。本気で構想しないと未来の吹奏楽はないと思っています。

 覚書のように・・・自分に言い聞かせるように・・・綴っていきます。

 活動場所、楽器管理、運営費用など諸問題はありますが、「優秀な指導者の確保」というのが難しいところになります。「優秀な」と枕につけましたが、これは音楽性はもちろんですが、中学生に教えるという「教育的使命」をしっかり果たせるかという問題です。学校教育から離れるとは言っても、対象である中学生は変わらないのです。学校の先生は一応、そのあたりが担保されている存在であって生徒も保護者も安心できるわけです(教員の不祥事で信頼性が落ちる場合があることは承知しています)。一般の方から広く公募する場合、登用するにあたってそのあたりを見極めていく必要があります。指揮者であれ、楽器ごとのコーチであれ、それは同じことです。一体それを誰が見極めていくのか。危惧しているのが、吹奏楽界の指導者陣には残念ながら中高生に近づいてほしくない類の人たち(教育的にふさわしくない言動をとる方々)もいます。そういう人たちに限って、全国あちこちの自治体に自分を売り込んでくるようにも感じます。

 さらには全国的に地域移行がスタートするとなると、優秀な人材がより待遇の良い地域に流れてしまう恐れもあります。教員は特給法のもと、ほぼボランティアで部活動指導をしています。時給換算してしまうと…。

 教員サイドに意識改革が必要かもしれません。兼業届を出した教員であろうと、一般から募集した指導者であろうと、「謝礼金」ではなく「報酬(労働の対価)」としてある程度の金額が支払われるようにシステムを作る必要があると考えています。時給1500円案なども出ているようではありますが、指導対価の最低額は決めておいた方がよいと思います。もともと教員は利益のために部活動をやっていたわけではないので「交通費程度でいいよ」とか「謝金なんていらないよ」いう人もいるかもしれません。でも、それでは持続的なシステム作りに反してしまうのです。もちろん部費の中に指導者への謝礼を入れると、経済的負担は大きくなります。受益者負担という話も出ていますが、できるだけ国や地方自治体が財源的なバックアップをしてほしいものです。

 教員の善意に乗っかってしまい、指導対価が見過ごされてしまうと一緒に働く人や同じ市の別の団体で働く方に影響を及ぼしてしまいます。労働の対価がほとんどない、地理的に不便である、となってしまうとますます他所に優秀な指導者が流れてしまうのです。

 考えれば尽きない課題ですが、これらの課題に正面から向き合ってシステムを作る人間というのも難しいものです。吹奏楽団体もない。スポーツ協会はあっても芸術協会がないのが本市の現状。これは、相当大きな大事業になりそうです。