kmd-windorchestra’s diary

吹奏楽指導者(JBA会員)、作編曲者、中学校教諭のブログ(吹奏楽指導、作編曲依頼はメールでご相談を)

長時間練習の問題提起

 吹奏楽の名門校として「イチカシ」は有名ですが、各種メディアで問題視されているのも事実です。

吹奏楽部の部員が自殺、長時間練習「過労死ライン超え」が背景に? 第三者委員会が明らかにした千葉の強豪校の実態(47NEWS) - Yahoo!ニュース

 この件について、プロのサックス奏者の上野耕平さんがTwitterで発言されています。

以下にツイートをまとめて引用しました。

 

吹奏楽で音楽と出会い、魅せられ、音楽家になった僕にとって、こんなに悲しいニュースはありません。この記事中の、亡くなった生徒さんのお父様が語った「吹奏楽部の現状は、多くの生徒の犠牲で成り立っている」という言葉、まさにその通りだと日々活動していて思います。

プロとして活動し始めて、まず感じたのはそこでした。「これ生徒のためになってないじゃん」と。この無駄に長すぎる練習時間と、不必要な上下関係、同調圧力が何を生むのでしょうか。そこから生まれるのが豊かな音楽ではないのは確かです。

生徒さんがそれぞれの価値観を育み、それを各々が自信をもって発信、表現し合えるようにすることこそが、豊かな部活動の時間であると思うのです。でも現状は個々の個性を殺し、一つの価値観に押し込めようとする、そういう活動が多く行われているな、というのが僕の活動してきた中での印象です。

そして残念ながら、そういう活動になってしまっていても「金賞」「強豪校」「カリスマ指導者」などと言われていると、皆そこを目指してしまうのです。本当は周りの大人がそこを正してあげなきゃいけないのに加担してしまっているのです。

吹奏楽部はスポーツとは違うということも考えなくてはいけません。強いも弱いもありません。あるわけがありません。なので「強豪校」という表現には正直違和感しか感じません。

これを正していくには、まずプロの音楽家から、そこへ加担せず、発信し続けていくことが大事だと思っています。誰よりも本来の音楽の魅力を知っているはずですから。

この現状、絶対に変えなくてはいけないんです。死ぬまでに絶対変えたいんです。吹奏楽部に関わる生徒さんが音楽という素晴らしい文化を携え卒業し、一生を豊かに過ごす。点を争う競技ではない。それが吹奏楽部です、となるまで絶対に諦めない!!!皆さんどうかよろしくお願いします。

 

 音楽に、吹奏楽に関わる大人として、しっかりと考えていかなければならない話題です。コンクールがすべて悪いわけではありませんが、何事も「行き過ぎ」は禁物です。コンクールの結果が活動の目的になってしまうと本末転倒です。あくまでコンクールは、バンドとして成長する手段と私は捉えているし、生徒にも話しています。一生懸命、練習して積み上げて技術的にも体力的にも精神的にも成長すると、その先の様々なステージで良い演奏ができて、演奏者も聴衆もハッピーになることができるのです。

 こういった諸問題に教員の長時間労働を絡めて「全国大会廃止論」も叫ばれますが、それは違うと思います。全国大会がなくなったところで教員の仕事量は、変わりません。そもそも、全国大会に出場できる吹奏楽人口は全体の1%未満です。

 今日、PTAの学年委員さんとの懇談会もあり、部活動の話題も出ました。部活動を取り巻く環境は移行期にあるといえるでしょう。明日の夕方の出張で地域移行の話題も少なからず出てくると思います。子どもたちの健全な成長のために大人ができることを真剣に考えていくことが何より大切なのです。