kmd-windorchestra’s diary

吹奏楽指導者(JBA会員)、作編曲者、中学校教諭のブログ(吹奏楽指導、作編曲依頼はメールでご相談を)

これからも大事にしていきたい課題曲

 色々なアンケートで吹奏楽の人気曲を聞くと課題曲があがることあります。長い時間をかけて全国の各地で同じ曲が演奏されるわけですから多くの人が愛着を感じるのからだと思います。朝日作曲賞の規定により曲の尺、編成、音域等の一定の制限がありますから、それも取り組みやすさに貢献して結果的に「思い出の1曲」になっていくのでしょうね。吹奏楽を親しんでいる人に課題曲を尋ねると年齢層も分かるからトークとしても面白くなります。ちなみに私は中学時代でいえば福田先生の「吹奏楽のための風の舞」や田嶋先生の「エアーズ」は中2のころになります。高2のときには高木先生の「マーチ ブルースカイ」、高3で初めてA編成に出た時に演奏した青春の曲が内藤先生の「ブライアンの休日」になります。課題曲の年代を覚えているは、これで年齢が分かるわけです。

 佼成ウインドが、2月に「課題曲コンサート」をやっています。往年の課題曲を日本一の演奏で鑑賞できる吹奏楽ファンにとっては嬉しいコンサートです。当然ですが、課題曲は、その年のコンクールが落ち着くと演奏される機会が減ってしまいます。ただ、ほとんど再演されなくなってしまうのは非常にもったいないわけで日本でこうやって吹奏楽をやっている人だからこそ、ぜひコンサートナンバーとして取り上げていってほしいと考えています。私も去る12月に開催した定期演奏会の冒頭では岩井先生の「復興への序曲 夢の明日に」を演奏しました。

 

 昨年度(2019年度)の課題曲Ⅰは林先生の「『あんたがたどこさ』の主題による幻想曲」でした。このあんどこファンタジーは、傑作で今後長く吹奏楽のコンサートで取り上げて演奏してもらいたい1曲です。「スコアがきれい」で楽器の良さを引き出す仕掛けもたくさんあるし、吹奏楽を知らないお客さんでも「あんどこ」は知っているわけです。あの「あんどこ」が吹奏楽で演奏すると「こんなにかっこよくなる」というところでもお客さんの反応もよいはずです。私自身は、綾瀬市中学校吹奏楽団でこの曲の指揮を担当しました。文句なしの朝日作曲賞の1位ですね。

 このあんどこファンタジー(親しみを込めてこの名前で呼んでいます…)の原典版があるのをご存じでしょうか。課題曲で原典版というと保科先生の「風紋」を思い浮かべる方もいるかもしれません。この原典版のあんどこも素晴らしい曲です。林先生が所属しているバンドの演奏になります。物語性が強い曲です。レクイエム、銃の音、酒を飲むなど隠された描写がある曲ですから原典版にも隠されたストーリーがあることでしょう。そんなことを考えて鑑賞するのもいいですね。

第19回尼信ブラスフェスティバル(2020年1月26日/あましんアルカイックホール
演奏 : 川越奏和奏友会吹奏楽団(指揮 : 佐藤正人)


交響詩「あんたがたどこさ」(「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲-原典版-)/林大地作曲

 

「課題曲って大編成バンドの話でしょ・・・」と思っている方もいるかもしれませんが、工夫次第では取り組むことができます。以前もブログで紹介しましたが、ブリッツが素晴らしい動画をあげています。「あんどこ」を14人で演奏している動画になります。開始から45秒くらいのところと3分20秒くらいの打楽器が、まさに小編成ならではの工夫ですね。


【小編成】2019年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲 林大地作曲【ブリッツの課題曲2019】

 

 ぜひ、長く取り上げていきたい課題曲です。数年後に取り上げようと思います。