kmd-windorchestra’s diary

吹奏楽指導者(JBA会員)、作編曲者、中学校教諭のブログ(吹奏楽指導、作編曲依頼はメールでご相談を)

理想とする吹奏楽のカタチ

 中学校の吹奏楽部を指導していると「こうなったらいいな」と思うことが多々あります。たとえば全部の楽器に専門のコーチがいる、楽器の状態が申し分ないほど整備されているといったことなどが挙がります。ただし、今回は違った理想を挙げてみたいと思います。

 

 それは「コンポーザーインレジデンス(CiR」をつけるということです。

 

 吹奏楽の世界では、なかなか聞かない用語になってしまうかもしれませんが、いわゆる「座付き作曲家」です。(半)専属として、その楽団やイベント、ホールなどに対して楽曲を提供したり、共同で音楽活動をするというものです。

 作曲家の狭間美帆さんとシエナウインドオーケストラの関係です。オオサカシオンと宮川先生(音楽監督)の関係もある意味では近いものがあるかもしれません。

 そのバンドとともに歩んで作編曲を行うポジションがあると素敵だなぁと常々、思っています。先日、とあるプロフェッショナル団体の事務局の方とお話をしたときも「専属に曲を書く人がいるっていいですよね」という話をしていました。

 うちのバンドでいえば、歴代の先輩方が残してくれた楽譜が100曲以上残っています。しかし、現在の15人で演奏できる楽譜がどれくらいあるかといえば、かなり少ないというのが現状で言ってしまえば「使えません」。

 お恥ずかしながら楽器の修繕状況もよくないので部費はそっちに消えていきます。楽譜を買うお金も限られてしまいます。私がオリジナル曲を書いたり、著作権者に許諾をとって編曲しているという現状があります。経済的な面は置いておきまして、オーダーメイドで曲を書くということは教育的配慮としても意味があります。

 「この子にはこれくらいの難易度を」という設定ができるからです。ちょっと練習しないと難しいという難易度をそれぞれに設定するのです。学習指導案でいうところの「生徒観」や授業づくりでいう「生徒の実態と捉えた指導」にあたります。楽譜も部活動でやる以上、教材です。市販の教材も素晴らしいですが、現場ではオリジナルの教材を作って改良して使っています。吹奏楽の指導も同じであると考えています。顧問がそこまでするのは大変なのでそこで「コンポーザーインレジデンス」です。長い目でバンドに寄り添ってくれる作編曲家がいれば、良い作品に触れて生徒は上達するのです。

 問題も多々あります。そんな都合よく、作編曲家がいないのです。それに楽曲の委嘱には信じられないくらいお金がかかります。あるダイレクトメールで「あなたの学校の校歌を吹奏楽アレンジします」というものが学校に届きました。値段を見たら「16万円」でした・・・。部費のほとんどが飛びます。破産します。

 ボランティアで書いてくれたり、安価で書いてくれたりする音大生がいたら素晴らしいのに・・・。ボランティアや安価で教えてくれる楽器の指導者には巡り合うけど曲を書いてくれる人は数名しか出会ったことがありません。まだまだ難しいのが現状です。

 そんなことを思いながら夜な夜なFinaleを起動して楽譜をつくるKMDでした。